Q1.
有機農家の直売所 ときのこやはどんなきっかけで始まったのですか?
酒井)
ときがわ町の活性化に取り組んでいたグループから声をかけていただいたのが始まりです。グループには、ときがわ町に戻って有機農業を始めた若手やその友人たち、さらには地元商店のご主人などが集まっていて、直売所の立ち上げや運営を後押ししてくれました。
ちょうど、ときがわ町周辺地域で有機農業を始めたばかりの新規就農者が何人かいたこともあり、「無農薬・無化学肥料野菜」を旗印にした直売所をスタートさせることができたのです。
Q2.
10年の間にはいろいろな変化があったのでは?
酒井)
出荷する有機農家は7軒程度で始まりましたが、今では16軒が出荷しています。初めは廃業したガソリンスタンドあとを借りて販売していました。その頃は1日の売り上げが1000円~2000円のこともありましたが、今では10万円を超える日もあります。売上アップのために軽トラックで出張販売など、いろいろ工夫もいましたが、なんといっても農業技術が向上して出荷量が増えたことかな。それと、継続は力なり!とマジで言えるようになりました(笑)。

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オープン当初は組立式の「小屋」で販売。カンバンやPOPは手作り手書きが当たり前。 |
一時期は軽トラックの荷台を商品陳列棚に。売れ残ったら、そのまま「行商」にGO! |
現在の三波渓谷駐車場に移転し、
切り出した竹などで手作りした通称、竹テント。2年後、いま使っているパイプハウスに建て替えた。 |
Q3.
メンバーもお客様も、売り上げも増えていく好循環を生んだポイントは?
酒井)
客寄せも狙って「流しそうめん」や「餅つき」をイベントとして企画したら、出荷している農家が盛り上がっちゃって。それを通りがかりの人が見て、楽しそうだからと寄ってきて、人が人を呼んでお客様も増えていきました。その賑わいが町役場にも伝わり、現在の三波渓谷の土地を町が貸してくれることになりました。野菜を出荷している農家はみんな真剣なんだけど、どこか「ときのこやに集まって遊ぼう」みたいな気持ちがあって、それも魅力の一つだと思います。そう、やっぱり人の魅力や関係性がポイントかな。
Q4.
今後の展開は?
酒井)
ここ数年、東京や埼玉都市部のレストランから引き合いがあり、取引を希望する農家が中心となって出荷したりもしています。あるシェフに言われたのですが、「ときのこやのメンバーは気持ちがいい。自分にない野菜を他の人が作っていると紹介してくれる」と。普通は自分の農場で出せなければ、それで終わり、という話なんでしょうけど、ボクらは融通しちゃう。これは、ときのこやが「商売ベース」だけではなく、「友達」をベースに有機的な人間関係を築けているからだと思います。
今後もこの有機的な関係を保ちつつ、それぞれが農家として成長できれば、ときのこやは変化しながらも続けていけると思っています。
恒例となったときのこや祭。来客者はもちろん、出店者、ライブ出演者で大盛況
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インタビューを終えて 〜 interviewer:Satoko Hatta
美味しさの秘密は「有機的な人の繋がり」
ときのこやの農産物の美味しさが評価されている理由、それは「有機農法」では語り尽くせない美味しさの秘密=「有機的な人の繋がり」にある、そう確信しました。 |