田舎には仕事がない。だから移住を躊躇する-という方は少なくない。
確かに求人情報を見ても、ハローワークに行っても、田舎にある仕事は限られている。
そんな印象が残るのは仕方がないでしょう。
でも埼玉県の田舎町ときがわには「仕事がないなら、つくってしまおう!」
そんな発想の女性たちが元気に活動しています。
今回は地元の有機農家さんと連携し、お惣菜事業を立ち上げようと奮闘中の
惣菜チームを取材しました。
Interviewer: Satoko Hatta
Q1.
惣菜はどのように作り販売しているのですか?
ときがわの季節の野菜で作っています。ターゲットは仕事や育児に忙しいお母さんたち。月に2回保育園の駐車場でテスト販売しています。お惣菜の作り手も子育て中の女性たちで子どもを預けられる束の間の時間に作っています。
Q2.
テスト販売をしてみて、お客さんの反応は?
一番人気はコロッケです。冬は葉物野菜や根菜の煮物などを作って販売しています。
お客様(女性)からは子どもを保育園に迎えに行き、これから夕飯というタイミングで購入できるので助かるという声を聞いています。仕事をしていないお母さんたちも、下の子が小さいと、料理も大変だそうで、惣菜を利用してくださっています。それから野菜が中心、しかも地元の有機農家さんの野菜を使っているので「出来合いのもの」でも罪悪感がないという声もききますね。スーパーマーケットのお惣菜は添加物も気になるみたいです。油など、調味料にもこだわっていることを伝えるとこの惣菜をこの値段で買えてありがたいと言ってくれた方もいます。
Q3.
ときがわ町で新たな仕事を作るきっかけは?
お母さんたちの自立を支援したいと思ったのがきっかけです。
私はLagom caféというお店をやっています。この店ではときがわの農家さんの野菜を中心にした料理を提供しています。店内は子どもの絵本やおもちゃもあり、床に座って「家」のように親子でくつろげる形にしています。この店をやりながら、自分も子育てしてきたので、お母さんたちの気持ちや暮らしは手に取るようにわかっています。
働きたいけれど、制限が多かったり、育児・仕事に追われるだけの毎日に違和感があったり、地域とのつながりのある仕事を求めていたり・・・いろいろですね。だから、地元の顔の見える農家さんの野菜を使って、彼女たちにとって無理のない働き方を実現したいと思っています。そして自分たちで考えて、納得できるものを提供していく、そんな惣菜事業を育てていきたいと考えています。
自分も病気をして、これからは一人でみんな背負うのではなく、仲間と仕事をしていこうと思ったのも、惣菜事業を立ち上げるきっかけでした。
恒常的に複数の人と仕事をしていく場合、どのようにコミュニケーションを取っていけばいいのか? それにある程度の規模の食数を提供しようと考えたとき、どんな設備や仕組みが必要なのか? 疑問に思っていたところ「幸せをはこぶ会社 おふくろさん弁当」という本に出会いました。そこで、この本の舞台となっている三重県鈴鹿市のおふくろさん弁当を協議会メンバーで視察に行きました。
話題の本
『幸せをはこぶ会社 おふくろさん弁当:本当にあった!
こんな会社~規則も命令も上司も責任もない!』
【編集】アズワンネットワーク編集部 |
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Q4.
視察先で得られたことは?
1000食レベルのお弁当を作る施設も観れましたし、従業員の方の様子や必要な業務もだいたいわかりました。
一番の収穫は人間関係の作り方を知れたことです。惣菜事業を軌道に乗せるにはメンバーのマネジメントが欠かせません。そこで、おふくろさん弁当でのマネジメントについても話をききました。興味深いことに、「他人をコントロールするマネジメント」という概念は存在しなかったんです。あくまで自分を客観的に見ることを継続的に自主的にやっていく仕組みがあるんです。その延長に他者の理解があり、結果として、助け合いが生まれ、効率よく事業が周り、売上が上がっているんです。
やってみないとわからないことですが、気持ち良く働ける環境を、ときがわでも実現していきたいですね。
※お惣菜チームによる販売は、はなぞの保育園 駐車場にて月に2回程度、実験的に営業。
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